2018~2019 ユーラシア大陸をめぐる旅

【北マケドニア】誤解と実際に見て感じたこと〜人々の国民意識〜

スコピエ

30年前の独立以来、ギリシャとの間の歴史問題によりで国名・国旗を変更した北マケドニア。国名や旗を変えるって、ナショナル・アイデンティティみたいなものはどうなっているんだろう?と疑問でしたが、1週間ほど旅行する中で、この国や人々のことを少しずつ知ることができた気がします。この記事では、旅の中で感じたことをまとめます。

※あくまでも私が人々を外部から観察して思ったことです

わたしの誤解

2019年1月に国名を「マケドニア」から「北マケドニア」に変更した北マケドニア。
ユーゴスラビアから独立してからというもの、アレクサンドロス大王で知られている古代マケドニア王国に関連して、北マケドニアとギリシャとの間で呼称問題が発生。一時は経済制裁を受けていました。
その結果、北マケドニアはギリシャからの経済制裁も受け、国旗を変更し、ついには国名も変更してしまいます。

これだけ見ると、「若い国で民族意識がないから、ギリシャのいいなりになっているのかな」なんて思えてしまう(実際私はそう思ってしまっていました)。
しかしそんなことはないようでした。
とある日スコピエを歩いていると、とあるイベントが開催されており、多くの人が集まり新旧の国旗や伝統的な歌を歌っているのを見る事ができました。

スコピエ

これを見て、「北マケドニアの人々の間には、自分たちが北マケドニア人である、っていう誇りがきちんと根付いているんだ!」と思いました。

AZUSA
AZUSA
数日間の滞在から人々を観察して感じたことなので、なんとも言えませんが・・・

それでは、なぜ北マケドニアは国旗や国名を変更せざるを得なかったのだろうか。

北マケドニアが国旗や国名を変更した理由

まず、1991年に北マケドニアがマケドニア、という国名で独立後、すぐに「国名、国旗、憲法を改めろ」とギリシャが経済制裁を課しました。

スコピエアレクサンドロス大王の銅像
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この頃ユーゴスラビアから独立したばかりのマケドニアは不安定で、ギリシャの経済制裁はものすごい威力を発揮。そのため、マケドニアは国際的な暫定呼称を「マケドニア旧ユーゴスラビア共和国」と変え、国旗を変え、ギリシャ領マケドニアへの領土拡大の野心を否定する条文を憲法に加え、やっと1995年に経済制裁は解除されました。

その後、2008年にはNATOへの加盟がギリシャの拒否によって否認されてしまう。しかし、2017年に発足した新政権は、NATOやEUへの加盟を目指し、ついに2019年1月、国名まで変更されることになりました。

バルカン半島の小さい内陸国、しかもユーゴスラビアから独立して数十年しか経っておらず、経済的にもまだまだ。そんな国がより強くなるため、国旗や国名を変えざるを得なかったのですね

マケドニアの国名変更は欧米諸国にとっても重大ニュースだった!?

独立以降、呼称問題で争ってきたマケドニアとギリシャ。
実は、ギリシャからの様々な圧力に対し、北マケドニア国内では反感が広がり、これがナショナリズムの台頭につながっていたよう。

2006年に政権についた中道右派政党、「内部マケドニア革命組織・マケドニア国家統一民主党」は欧米諸国への反感からロシアと接近。ギリシャとマケドニアとの間の争いが、バルカン半島内にロシアが拠点を設けることを助けることになっていたようです。

そのため、欧米諸国にとっても、ギリシャとマケドニアとの間の問題が解決されることは、「東欧に西側の同盟国を増やす」という面で、安全保障上とても注目すべきことだったようです。

AZUSA
AZUSA
当時バルカン半島を旅して、世界では東西や宗教での分断がまだまだ続いているのだな、と感じました

マケドニアを旅行して

マケドニアを1週間ほど旅行して、人と話して、「マケドニアの人々って、マケドニアという国が大好きなんだな」ということをひしひしと感じました。
ただ、ギリシャとの間の問題は根深いようで・・・
例えば、トルコの政治家、ケマル=アタトゥルクをマケドニアで生まれたんだよ!と信じ込んでいたり(実際はギリシャのテッサロニキ)していた人もいました。

治安も良いし、西欧とは全く別の雰囲気の、むしろトルコ寄りの雰囲気も持つマケドニア。
興味を持ったらぜひ訪れてみてほしいな、と思います。きっと何か得るものがあるはずです。


最後まで読んでいただきありがとうございました♪
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