2019年9月、首都ミンスクから車で2時間半の田舎で、WorkawayというWork Exchangeを行いました。
田舎の暮らしを選択し、家族5人で持続可能な生活を送っている彼ら。「こんな暮らしも可能なんだ!」と気づき、持続可能な彼らのような生活が私の夢の1つになりました。
今回は、彼らの暮らしがどんなものなのか、ご紹介しようと思います。

CONTENTS
陶芸家、ダミヤンさんとその家族

ベラルーシの田舎で持続可能な生活を送っているダミアンさん家族。
家族のメンバーは5人。
ダミアンさん(左に立つ男性)とカトリューシャ(妻)、ヤリーナ(左の女の子)、ダリヤ(右の女の子)、そしてこの写真には映っていませんがシビリンという小さな男の子。
ダミアンさんは陶芸家で、様々な種類の陶器を作っています。
陶器を作っては、色々な場所に売りに行っています。1年の半分くらいはヨーロッパ各地を旅しながらフェスティバルなどを巡り、陶器を売っているそう。
ダミアンさんは日本の陶器にも興味があり、家の庭にある「アナガマ」で茶碗や湯のみ、急須、お皿なども作っています。

彼の夢はいつか日本へ行って技術を学ぶこと。
これまで文化がなんども破壊されたベラルーシでは、彼のように新しい文化を創ろうとしている人がたくさんいます。
ダミヤンさん家族の暮らし

ダミヤンさん家族は、ミンスクから車で2時間半の村に住んでいます。
この村には30年前にはたくさんの人が住んでいましたが、皆都会へ出て行ってしまい、今では数軒のみ。
それでは、ダミヤンさん家族がどんな暮らしをしているのかご紹介してみます。
オーガニックな自給自足生活

ダミヤンさん宅では、妻のカトリューシャさんがお庭で野菜を作っています。
トマト、キュウリ、ピーマン、キャベツ、マメ、ニンジン、などなど作れるものはなんでも作っています。
彼女は無農薬でオーガニックな野菜を作っています。子供達は彼女のお手伝いをしながら、もいだトマトを洗わずにパクパクと食べていました。なんだかとっても素敵。
ダミヤンさん家族は皆がベジタリアン。毎日とれたての野菜を食べる生活、とっても素敵でした。
砂糖は買わない!
彼らの家では砂糖やお菓子を買いません。
時々、誰かお客さんが持ってきたオーガニックのお菓子なら食べるけど、彼らはスーパーへ行っても買うことはしていませんでした。
彼らの家で食べたジャム。
ジャムにも砂糖を使わず、なんと蜂蜜を使っているんだとか。
それでも全然物足りないなんて感じなくて。
ティータイムにはドライフルーツやハチミツ、フルーツを食べていましたが、むしろいつも食べているお菓子の数倍美味しかった・・・。
自然のものの美味しさに気づいた瞬間でした。
食べ残しは肥料に
食事の時間。
「もったいないから全部食べなさい!」という日本の親と違い、この家族では子供が自分の器に盛られた料理をよく残していました。また、作りすぎて余ることも多々ありました。
そんな時、キッチンの横の桶にポイポイと入れているので、私はその度に「勿体ない!」と思ってしまっていました。
しかし、それは全部肥料になる見たい。
桶がいっぱいになると、庭の畑にそれを運び、ポイっと肥料を作るためのスペースに入れていたのです。
残しても、それが巡って翌年の食べ物になる。
とっても素敵なことだなあ、って思いました。
子供を学校に行かせない
ダミヤンさん宅には3人の小さな子どもがいます。
けれど彼らは子供を学校に行かせないことにしています。
カトリューシャが言っていたのは、「子どもとの繋がりを保っていたい」ということ。
ベラルーシの教育システムはとても前時代的で、あまり良くないとのこと。
そんな中、子供達の個性が失われていってしまうのは悲しい、それなら自分たちで個性を伸ばす教育をしたい、という思いからこのような選択肢をとっているとのことでした。
また、ダミヤンによれば「自分が学校に通っていた時は、とても毎日がつまらなかった。同じ経験を子どもにさせたくない」とのこと。
実際、このお宅では、子ども達はそれぞれの強いキャラクターはそのままにスクスクとエネルギッシュに育っています。
Wi-Fiはオフ!
ダミヤンさんの家について、インターネットを使いたいな、と思った時。
Wi-Fiがあるかを聞いたら、「常に切ってあるから、使いたい時だけ電源をつけて使ってね」と言われた。なんとその理由の一つが「子どもに悪いから」。
これまで電波が体に悪いってあまり考えたことがなかったので、驚きました。
調べてみると、電波って体に悪いという記事をたくさん見つけ。
Wi-Fiをはじめとして様々な電波が身の回りを飛び交っている現代、自分から電波に気をつけて過ごしたいな、と思ったきっかけがこのお宅でのステイでした。
トイレは屋外!
ダミヤンさん家族は古民家のようなおうちに住んでいます。
家の中にはペチカ(ロシアの暖炉兼オーブン)があり、カトリューシャはパンをペチカで焼いていました。
そんな暮らしには、いいところもあれば少し不便なところもあります。
その一つが、トイレ。
トイレは家の中にはなく、なんと少し離れた屋外に設置してあります。
そしてしゃがむ式のボットン便所。
もしかすると、慣れていない方は最初びっくりするかも。
でも、トイレの中はとっても快適になっており、なんと色々な本や絵、写真が飾ってありまるでギャラリー。
この旅の中で、「自分、こういう環境でも大丈夫だわ・・・」って気づきました。
ウクライナの文化〜Trypilian culture
ダミアン宅で聞いた、ウクライナ古代の魅力的な文化について少しご紹介します。

ウクライナには、新石器時代の後期の紀元前6世紀から3世紀、Trypilian culture(トリポリエ文化・ククテニ文化)と呼ばれた文化が栄えていました。
この文化では独特の模様が描かれた土器が特徴。さらに子供用の玩具や、日本の縄文土器にも似た女性の土偶も多く出土しています。

この文化には不思議な点があります。
それは、大きな集落を作っていたにも関わらず皆が平等だったらしいこと(全ての家に祭壇があったらしい)、そして数十年おきに集落が焼かれ、少し離れた場所に新しい集落を作っていたこと。
この文化は、どうやら現在このエリアに住む人々と連続性がない、全く別の人々だったよう。紀元前3世紀に別のグループがやって来て終わりを迎え、様々なことが解明されないまま今日に至っています。
ウクライナには、この文化について展示されている大きなミュージアムがあるそう。いつか行ってみたいです。
ウクライナの民族衣装を着てみたよ

カトリューシャはウクライナ出身。大学でフォークロアを学び、結婚するまではフォークミュージックのバンドで歌っていたそうです。そのため、彼女はウクライナの民族衣装を何着も持っていました。今回、その中の数着を着せてもらいました。
この地域は、リネンの産地。昔から、人々はリネンを使った衣服を着てきました。
それらの衣服(特に、ハレの日用)には、様々な意味のこもった刺繍が施されています。
刺繍の柄は昔からのシンボル。
例えば「出身地」「結婚しているか、していないか」などなど、様々なことがこのシンボルから読み取れると言います。
クロスステッチは日本でもメジャー。私の母も、昔からクロスステッチをやっていますが、元々はそんな意味のあることだったなんて驚きでした。この地域の魅力をとても感じました。
おわりに
ダミアンさんの家に宿泊して、ベラルーシには新しいものを創ろう、あるいは昔からのものを復興しようと動いている人がたくさんいることを知りました。
ダミアンさんもその一人。陶器の新たな技術を研究する一方で、昔ながらのデザインを自分の陶器に取り入れたり、マスタークラスを開いて技術を広めたりしています。
また、カトリューシャも自分の知識を活かし、将来はお母さんや女性向けのキャンプを開きたいと考えていました。
彼らの周りには自然と周りに人が集まり、彼らのライフスタイルや考え方はベラルーシ中に広がりつつあるようでした。
この記事を読んだ方へ
ダミアンさんは、日本人のマスターに陶器を習いたいと考えています。
ダミアンさんが日本へ来て学ぶのももちろんですが、文化交流のような感じで、ベラルーシにマスターが来て陶芸家たちに指導をしてくれないか、ということも考えています。
もしこの記事を読んだ方で「それいいじゃん!」と思った方は、私に連絡をくださると嬉しいです。
