北マケドニアについて何も下調べせずに来て、地図で大きな湖を見かけたので行ってみたらなんと世界遺産に登録されているヨーロッパ最古の湖だった。
旅行を続けるうちに、GoogleMapで見て「島があるから行ってみよう」「湖があるから行ってみよう」と行き先を決めるようになってきた。そんな風に行き先を決めたら大抵は有名な場所だから面白い。
今回は、そんなオフリドの歴史や見どころをご紹介する。

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オフリドの概要
前回の記事でもオフリド湖や湖畔の街オフリドの概要をご紹介したが、ここではもう少し詳しくご紹介しようと思う。

地理
オフリド湖は、北マケドニアとアルバニアの国境にある大きな湖。
ヨーロッパで最古の湖と言われており、バルカン半島で最も深い湖でもある。
この湖の水は、アルバニアを通りアドリア海へと流れている。
歴史
オフリドの歴史はかなり古く、東ローマ時代の文献にもオフリドについての記述が残されている。なんとその存在はギリシャ神話ともつながるらしい。
街は、古くは「青く透明な水をたたえた湖」という意味のギリシャ語の名がつけられていた。オフリド、という名で呼ばれたのはブルガリアに支配されてからのことと言われている。
オフリドには古くからキリスト教が信仰されており、10世紀終わりから11世紀の初めにかけて、ブルガリア帝国の首都が置かれた時代には、ブルガリア正教会の主教座が置かれていた。
そのためオフリドは文化的にとても重要な都市となり、今日市内に現存する教会のほとんどは東ローマ時代とブルガリア帝国時代に建てられたものだという。
その後オスマン帝国に支配されると、キリスト教徒の人口は激減する。
貿易の拠点として栄えるとその数は回復するが、オスマン支配の影響は今日にも見られる。
また、オフリドはキリル文字発祥の地とも言われている。
オフリドの主教となった聖クリメントが考案し、聖キュリオス・聖メトディオスの兄弟がグラゴール文字を作り、さらにそれを聖クリメントが革新させてキリル文字を作ったらしい。
聖クリメントは初めてスラブ語で説教・著述活動を行なった人として知られており、聖キュリオス・聖メトディオスの作ったグラゴール文字は近代までクロアチア語の表記に使われ、Unicodeにも登録されている。
↓グラゴール文字

世界遺産への登録
オフリドは、1979年から80年にかけて、「オフリド地域の自然・文化遺産」の名でユネスコの世界遺産に登録された。
オフリド湖にはペリカンやワシ、ハクチョウなど貴重な動物が数多く存在し、オフリドには数多くの教会・修道院や貴重なイコン(聖像画)が存在している。モスクワのトレチャコフ美術館に次ぐイコンのコレクションなんだとか。
次からは、オフリドを訪れたらぜひ訪れてほしい場所をいくつかご紹介する。
オフリドの魅力と見るべき場所3つ

オフリドは、くねくねと入り組んだ歴史ある街並みや美しい湖がとても魅力的。
目的もなく、細い路地を歩いてみるのもおすすめだ。
あいにく、私がオフリドに滞在した数日間は雨や曇りで肌寒かった。しかし、そのせいか他のヨーロッパの街では感じたことのない幻想的な雰囲気を感じることができ、逆に幸運だったかもしれない。
要塞跡(Samuel’s Fortress)から町を見下ろす

いくつかある見どころのうち、オフリドを見下ろすことのできる要塞跡(Samuel’s Fortress)は特にオススメ。
この要塞跡は、10世紀のブルガリア帝国時代に建てられたもの。なんとこの要塞の下には、4世紀にマケドニア王国の王によって建てられた要塞があるらしい。

入るには少額の入場料が必要だが、要塞から眺めるオフリドは本当に美しい。
オフリドに来たらぜひ訪れてほしい場所だ。
街歩きと教会巡り
オフリドには、長い歴史を持つ教会がいくつも存在している。
それぞれが小さく、西欧で見るような存在感のある建築物ではないが、美しい街並みの中にひっそりと佇んでいるその姿はとても印象的だった。
また、オフリドの歴史を物語るような光景をみることができた。
教会の敷地内から、モスクの尖塔をみることができたのだ。
ヨーロッパ風の街並みの中、教会とモスクが共存している姿はバルカン諸国ならではなのではないだろうか。
このように、オスマン帝国の支配の影響を今でも肌で感じることができる。

オスマン時代の建物が残る山あいの村

オフリドの旧市街からタクシーで山あいにある村へ行くことができる。
この村へはタクシーで往復8ユーロだった。
タクシーの運転手によれば、この村にはオスマン時代に建てられた建物がまだ残っているとのこと。中には石垣だけしか残っていない建物もあり、オフリドの歴史の古さをここでも感じることができた。

また、この村からはオフリドの街と湖を見下ろすことができる。
要塞跡から眺める景色とはまた違う景色をみることができる。
少し足を伸ばして〜聖ナウム修道院
オフリドの街から南に約26km、アルバニアとの国境の本当に近くに位置する修道院。
この修道院は、世界遺産の中の文化遺産に登録されている。
元々は10世紀に聖ナウムによって建設された修道院で、現在の建物は16世紀に再建されたもの。聖ナウムは、聖クリメントとともにスラブの人々にキリスト教を広めた事で知られており、彼自身もグラゴール文字やキリル文字の作成に携わっていたらしい。
聖ナウムは今でもこの修道院に眠っている。
この場所はオフリドからの1日トリップの場所として有名で、滞在していたホステルでも多くの人が訪れていた。
ツアーでも行く事ができるし、本数は少ないがローカルバスでも訪れる事ができる。
有名な場所なので、ローカルバスの時間など詳細は宿の人が知っているはず。
もし時間があったら訪れてみてほしい。
おわりに
北マケドニアの一大観光地であるオフリド湖。
メインストリートにはレストランやバーが立ち並び、ホテルも数多く、とてもツーリスティックな場所になっておりびっくりした。
ただ、幸運にも私が滞在していた時のほとんどが雨で肌寒く、静かで雲が立ち込めている、幻想的な湖を目にする事ができた。
ぜひそんな静かな時を狙って訪れてほしい場所だ。
