2018~2019 ユーラシア大陸をめぐる旅

【コソボ】山間の街 ペーヤを拠点に世界遺産の修道院巡り

ペーヤの周辺には世界遺産に登録されている修道院が2つあります。1つは「ペーチ総主教修道院」、もう1つは「デチャニ修道院

今回は、ペーヤを拠点にこれらの修道院を巡った際のことをまとめていきます。
どちらの修道院も危機遺産リストに登録されており、訪れることで、コソボの歴史や文化に興味を持つきっかけになりました。
皆さんにもぜひ、この記事を読んでコソボの歴史や現状について興味を持ってもらえたら嬉しいです。

コソボの危機遺産

今回訪れた2つの修道院は、どちらも「危機遺産リスト」に登録されています。

20年前のコソボ紛争では、セルビアからの独立を求めてコソボに住むアルバニア人が戦っていました。旅の間に人々と話すと、戦争の記憶が刻み込まれているのを感じました。
20年経った今でも、「ここはアルバニア人の土地だ!セルビア人は出て行け!」という気持ちを抱く過激派の人々も存在しているようです。

今回訪れた修道院はセルビア正教会の修道院であり、もちろんここを利用するのはセルビア人。デチャニ修道院には、セルビアをよく思わない過激派によってロケット砲が撃ち込まれたこともあるんだとか。

現在はKFOR(コソボ治安維持部隊)によって守られており、特にデチャニ修道院の警備は厳重。修道院から数百メートルほど離れた場所にはバリゲードが設置されていて、観光客でも入るにはパスポートチェックがあります。

ペーチ総主教修道院

ペーチ総主教修道院内にある教会

ペーヤの中心部から徒歩30分くらいの山の麓にあるセルビア正教会の修道院。
「コソボの中世建造物群」の一つとして2006年に世界遺産リストに加えられました。

教会に足を踏み入れると、内部に描かれたフレスコ画が自然の明かりに照らされ、キリストやマリア様、様々な天使たちの姿がぼんやりと浮かび上がって見えます。人工の明かりが一切ない教会の中。その薄暗さが、非現実感を醸し出していました。

緑あふれる庭、全身黒い装束をまとった修道女たちが静かに歩く姿、小さな女の子が遊んでいる姿。

静かにガラス越しに眺めていたいような、美しい風景でした。

デチャニ修道院

デチャニ修道院

デチャニ修道院は、ペーヤからバスで約30分、そこからさらに徒歩30分ほどの山あいにあるセルビア正教会の修道院。
2004年に単独で世界遺産に登録され、2006年には他のいくつかの修道院とともに「コソボの中世建造物群」として拡大登録されました。

教会の中に入ると、内部は一面色彩豊かなフレスコ画で埋め尽くされていました。この教会のフレスコ画は、ビザンチン様式の現存最大のものだとのこと。聖書の一場面を描いた一つ一つの絵は、いつまでみていても飽きません。

この修道院にたどり着くまで、ものものしい雰囲気のバリゲードを通り抜けたり、修道院の前では治安維持部隊にパスポートを預けたりしなければなりませんでした。敷地内に入った後も、あまりウェルカムな雰囲気を感じられず・・・。

ここには、アルバニア人の過激派によってロケット砲が撃ち込まれたこともあるらしい。だからこんなに警備が厳重なんですね。
旅していると一見平和そうに見えるコソボですが、今でもセルビアに対して良い印象を持っていない人もいるようで、民族の対立の根深さや、まだ紛争が終わってわずか20年しか経っていないことを身にしみて感じました。

ペーヤからは、プリスティナ行きのバスに乗って行き先を運転手さんに告げれば、途中で降ろしてもらえます。


最後まで読んでいただきありがとうございました♪
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