16世紀末にサファヴィー朝の首都だった街、イスファハーン。
最盛期には「イスファハーンは世界の半分」とも言われたこの都市は、今ではその美しさから世界各国からの観光客を惹きつけている。
今回は、そのイスファハーンの歴史・行くべき場所をご紹介する。

CONTENTS
イスファハーンとは

イスファハーンは16世紀末、サファヴィー朝の首都として栄えた都市。
その繁栄ぶりは「世界の半分」とも言われていた。
ここでは、サファヴィー朝がどのような王朝だったのかまとめてみる。
サファヴィー朝は、16世紀初め、神秘主義教団がイランに建てた国家だ。シーア派を国教とし、スンナ派のオスマン帝国との抗争も何度か起きた。1514年に起きたオスマン朝との戦いで敗れ、一時王朝壊滅の危機に陥っていた。
その危機から国家を救ったのがアッバース1世だ。軍の整備や王の権力の強化、中央集権体制の回復などの政策を行い、オスマン帝国やポルトガルから奪われていた領土を奪還。イスファハーンに遷都し、貿易や絹織物、ペルシア絨毯の輸出を奨励。17世紀、イスファハーンは世界中から富が集まる、最も繁栄した都市の一つになった。
その頃、イスファハーンの人口は500,000人を超え、ロンドン、パリ、江戸、北京、イスタンブールと並ぶ大都市だった。
その後、政治の腐敗などで次第にサファヴィー朝は衰退、1736年に滅亡した。
このサファヴィー朝によって、イランではシーア派が信仰されるようになり(現在もイランではシーア派が信仰されている)、住民には「イラン人」としての結束意識が高まった。今のイランという国家の設立に大きな意味を持つ王朝であった。
イスファハーンの魅力ー建造物
イマーム広場【世界遺産】
イスファハーンが都となると、アッバース1世はイマーム広場(王の広場と呼ばれていた)を建設。大規模な市街改造が進められ、イマーム広場の周りには幾つものモスクや宮殿が建設された。

このイマーム広場では、様々な催し事が行われたり、レスリングなどのスポーツも行われていたそうだ。
今ではその頃の賑わいは想像もつかない。
観光客が静かに歩き回り、それぞれの時間を過ごしている。
広場の中心には馬車が観光客を待っていた。


広場の近くには、観光客向けのバザールが広がっている。ブラブラ土産物を探すのも楽しい。
イマーム広場に行く際には、時間をとって、ゆっくりと歩き回ってみてほしい。
ハージュ橋(Khaju Bridge)

イマーム広場から約3km(徒歩40分)。1650年、アッバース2世の治世に建設された橋がこのハージュ橋。イランで最も長い川、ザーヤンデルード川にかかっている。
この橋、美しいその姿はもちろん、その人の多さも見どころ!!写真を見るだけで、人の多さを実感してもらえると思う。
実はこの橋の近くにある公園も人で埋め尽くされていた。イランの人々は公園に行ったりピクニックするのが好きで、この日もピクニックしている家族連れがたくさんいた。

イランの人々の暮らしを感じることができる素敵な場所だ。
イマーム広場からも歩くことのできる距離なので、散歩がてら行ってみるといいかもしれない。
宮殿と庭

イスファハーンには、幾つもの宮殿が存在しており、それぞれの宮殿が庭園を持っている。ぜひそれらの庭園を散策してみてほしい。
庭園にはたくさんのバラが咲いていたり、噴水があったり、ベンチではイランの人々が談笑していたり、子供達が遊んでいたり・・・。穏やかな時間を過ごすことのできるオススメスポットである。

イスファハーンの魅力ー食べ物
ジューススタンド【珍ジュース】

イスファハーンを訪れたら、広範囲に散らばる名所を見にブラブラと歩くことが多いのではないかと思う。そんな時に助かるのが、頻繁に見かけるジューススタンド。野菜やフルーツを使った濃厚なジュースを飲むことができる。
その中でも珍しいのがニンジンジュース。
イランではニンジン製品を多く見かけるが、その中でもニンジンジュースは特に変わっている。
ただ、「with ice」はオススメしない。
イランのジューススタンドではice=ソフトクリームという意味らしい。ニンジンジュースの中に甘いソフトクリームの入った謎の食べ物が出てきた。
アイス

暑いイラン、アイスクリーム屋さんも街中の至る所で見かける。ジューススタンドに併設しているところもある。
ソフトクリームだけを出しているところもあれば、サーティワンアイスクリームのように、様々なフレーバーを揃えておりトッピングもできるお店もある。
私が行ったのはホステル近くのアイスクリーム屋さん。夕方になると人だかりができていたので、きっと、地元の人に人気のお店なのだろう。そういうお店にはハズレがない。
美味しいし、お店の人もフレンドリーでイスファハーンで一番気に入ったアイス屋さんだ。
イランで食べたアイスはどれも結構レベルが高かった(少なくとも、東南アジアよりは)。ぜひトライしてみてほしい。
おしゃれカフェ

イスファハンは国内外から観光客の集まる一大観光地。
そのためおしゃれカフェも多い。
私が訪れたRadio Cafeは、雰囲気がとても素敵だった。
静かに読書したり、調べ物したりするのにもぴったりだ。
もちろんコーヒーも美味しい。また、朝食セットなどもあり、朝の時間だったため朝食を食べている人が多かった。
特にイマーム広場周辺はカフェがひしめき合っているので、ぜひトライしてみてほしい。
おわりに
現代のイランの礎を築いた王朝の首都だったイスファハーン。
今では、大きなイマーム広場や数々のモスク、宮殿に当時の面影を少しみることができるのみ。当時はどれほど賑わっていたのか、想像もつかない。
何度も隆盛を繰り返し、現在では観光都市として発展を続けているイスファハーンだが、この地が昔のように「世界の半分」と呼ばれることはもうないのだろう。
イスファハーンを歩いていると、広場やバザール、宮殿を観光、というよりも、人々の暮らしがすぐそばにあることに気づく。
ぜひ、訪れた方は世界遺産だけでなく、街をブラブラして、人々を観察したり、時には一緒にピクニックしたり、とイランの生活を身近に感じてみてほしい。

参考
- NHK高校講座 繁栄する西アジア・中東の都市https://www.nhk.or.jp/kokokoza/tv/sekaishi/archive/resume016.html
- 世界史の窓 サファヴィー朝 https://www.y-history.net/appendix/wh0803-037.html
- Wikipedia エスファハーン https://ja.wikipedia.org/wiki/エスファハーン
- Wikipedia Khaju Bridge https://en.wikipedia.org/wiki/Khaju_Bridge