2019年8月、シベリア鉄道に乗りロシア横断の旅をしました。
その際立ち寄ったのが、世界で最も深い湖、バイカル湖。
面積は琵琶湖の約46倍で、その多様な自然、独自の生態系はユネスコ世界遺産に登録されています。そんなバイカル湖の地域では、私たちと顔の似た人々(モンゴル系の人々)が独自の文化を持って暮らしています。
この記事から数回にわたって、バイカル湖最大の島、オリホン島で見たシャーマニズムの文化や、彼らの歴史、暮らしについてご紹介しようと思います。
第1回目は、バイカル湖やオリホン島の基本情報について。地理や歴史、そこに住む人々についてお伝えします。
バイカル湖について
バイカル湖の地理
バイカル湖は、シベリア東部にある世界最深の湖。最大水深は1634m〜1741mだそうです。
貯水量も世界最大。世界中の凍っていない淡水のうち17〜20%がバイカル湖にあります。また、世界最高の透明度を誇り、その美しさや生態系の貴重さなどから1996年に世界遺産に登録されました。
バイカル湖には336本の河川が流入。また、22の島があり、今回私が訪れたオリホン島は奄美大島に匹敵する大きさです。
バイカル湖の歴史
バイカル湖は、古代湖(10万年以上存続している湖のこと)。
もともとは海溝でしたが、約3000年前に海から別れ、その後長い期間をかけて淡水化していったそうです。一般的な湖は堆積物によって数万年で埋まってしまいますが、バイカル湖は地理的な要因により埋まらず、今でも湖として存続しています。
人類は2万年前ごろ、バイカル湖周辺に到達。この地域に適応し、モンゴロイド的な特徴を獲得していきました。
古くからこの地域に住んでいるブリヤート人は今でもこの地域に居住しています。
彼らは古くはスキタイとの関係もあったそうですが、次第にモンゴルの影響を大きく受けるようになります。
その後、17世期になると帝政ロシアがバイカル湖周辺に進出、17世紀中頃には支配下に置きます。20世紀の初めにはシベリア鉄道が完成。なんと最初は軌道を氷の上に敷いていたんだとか!
その後、ソビエト連邦の時代になると、もともとブリヤートの人々が持っていた伝統は制限されるように。古くから続くシャーマニズムも禁止され、シャーマンの数は激減します。
時代は流れ、1991年にソ連が崩壊。バイカル湖は1997年に世界遺産に登録されました。
厳しい時代を乗り越え、人々はその文化を守り続けています。
バイカル湖最大の島、オリホン島
オリホン島はバイカル湖最大の島。
面積は奄美大島よりも広い、730㎢。
島の中に、湖、タイガ(シベリア地方の針葉樹林)、ステップ(草原)、砂漠など様々な地形が見られることが特徴です。
オリホン島の中心の街は、島の中央にあるフジュルという街。
人口の大半がここに住んでおり、多くの観光客もこの街に宿泊。レストランやホテル、売店などがある小さな街になっています。
ブリヤート人って?
ブリヤート人は、ロシア・モンゴル・中国にまたがって住んでいるモンゴル系の民族。ロシアには45万人ほどが住んでおり、バイカル湖のあるブリヤート共和国には全人口の4分の1が住んでいます。
ブリヤート人はモンゴル族の先祖と言われており、モンゴル族の先祖はバイカル湖の周辺で定着してから、草原地帯へ信仰したと言われています。また、日本人の起源であるという説もあり、注目されています。
オリホン島のブリヤートの人々は、今でも元々の伝統を守りながら暮らしているように見えました。彼らはシャーマニズムを信仰し、島の至る所で下の写真のような柱を見かけました。
もちろん、ブリヤートの人々の中にも様々な人がいます。独自の文化を維持している人々、ロシア的な生活に変化している人々・・・。また、ロシアにはブリヤートの人々以外にも、182の民族が暮らし、26の言語が公用語として認められています。ロシアって本当に多様で、大きくて、そんな点もとても魅力に感じました。
バイカル湖を知るために〜オススメの記事〜
バイカル湖について、その独自の文化や環境問題等について詳しく取り上げられている記事をいくつか発見しました。この記事を書くためにも参考にさせていただいています。
より皆さんにバイカル湖を知ってもらうきっかけにもなるだろうと思い、ご紹介させていただきます。
- Lake Baikal is holy to the Buryats (DW)
- Siberian Authorities Halt Construction of Lake Baikal Bottling Plant After Backlash (Moscow Times)
おわりに
バイカル湖について、第1回目は地理やそこに暮らす人々についてご紹介しました。
次回の記事では、バイカル湖最大の島オリホン島の様子を、実際私の見たままにご紹介していきます。